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  • 技術VB創造のヒント(1)工作ツールでコスト・時間削減

ワクワクするような技術で、未来を感じさせてくれる。そんなイノベーション(革新)を起こそうというベンチャーが続々と誕生している。自身起業家でもあり、多くの技術ベンチャーを支援するTomyK代表の鎌田富久氏がベンチャーの新潮流や今後の注目分野について解説する。

VB-Fig1ソフトウエアやサービスだけでなく、ハードウエアを絡めたベンチャーが増えているのが最近の特徴だ。従来は大きな資本や販売力が必要であったハードウエアビジネスが画期的に身近なものとなった。

3D(3次元)プリンターをはじめとする工作ツールの活用で初期開発のコストや時間を大幅に短縮できる。インターネット販売により、世界に向けて小ロットでも販売できるようになり、SNS(交流サイト)の口コミでファンを増やせる。プロトタイプ(試作品)を開発して、クラウドファンディングで事前予約してもらうのも効果的だ。これらのネット時代の新たな環境がモノづくりの世界を一変させた。

つまり、エンジニアが技術開発に集中して、製品を市場に投入するところまでたどり着ける。その結果、世界初の革新的な製品に資金も人材も集まってくる。必要な資金と人材は後からついてくるという訳だ。

一方、大企業は大量生産型のモデルに組織や意思決定が縛られている。新しい製品を出すには、製品開発から量産、販売網の構築、宣伝まで全体の事業計画が必要になり、簡単には進まない。だが、すでに豊かになった先進国では、もはや一様な大量生産品は付加価値の小さいコモディティーとなり、人々の好みの多様性に合致した製品にこそ価値がある。新たな体験を提供するような製品やサービスが求められている。

こうした背景もあり、技術ベンチャーには大きなチャンスがある。本連載では、インターネット・オブ・シングス(IoT)やロボット、宇宙、人工知能といった最先端分野の可能性ついても考えてみたい。

  • 技術VB創造のヒント(2)IoT、ハードで特徴出す

1月に米国ラスベガスで開催された世界最大の家電見本市のCESでも一躍主役となったインターネット・オブ・シングス(IoT)、ネットにつながるモノたち。ありとあらゆるデバイスにセンサーが搭載されて、無線通信でネットやスマホに接続され、スマートになる。

VB-Fig2

CES では身に付けるスマートデバイスが注目された

メガネ型、リストバンドや腕時計型のウエアラブル・デバイスに加えて、スノーボードからワインセラー、哺乳瓶まで多種多様なスマートデバイスが登場している。家庭内のあらゆる機器もネット接続され「スマートホーム」となる。自動車のネット接続も加速している。筆者は2007年に「20年に700億台がネットにつながる」(世界人口×平均10台)と予測したが、あながち見当外れでもなさそうだ。

そうは言っても、現状は各社がアイデアを競い合っている状態だ。一般の生活体験に溶け込むには、まだ課題もある。ここでは3つの課題をあげておく。1つは設定の難しさ。誰でも簡単にすぐに使い始められることがポイントである。2つ目は連携の問題。多くのスマートデバイスが連携することで付加価値が高まる。これは、まさにIoT分野の覇権争いと直結しており、誰が中心プレーヤーになるのかをめぐり、今後激しい競争になることが予想される。3つ目はセキュリティーや個人情報の取り扱い。新しい分野の創成期には、こうした新たな課題も同時に持ち上がる。

ベンチャーにとってはチャンスが大きい。スマホをハブにして何らかのスマートなデバイスとアプリ、サービスを開発すればよい。ハードウエア開発が容易になったことで、この動きに拍車がかかっている。アプリ単独で稼ぐのは難しいが、ハードウエアを絡めると特徴を出しやすく、ビジネスモデルが作りやすい面もある。

少し気の早い話だが、IoTはまずは人が身の回りで使うものから進化して、将来はセンサーを地球上の隅々まで設置することになるだろう。

  • 技術VB創造のヒント(3)クラウド資金調達デビュー

ハードウエアを開発するスタートアップの一番のチャレンジはソフトウエアビジネスよりも初期投資が大きいという点だ。また、一度開発すると変更も容易ではない。こうした課題を「クラウドファンディング」が解決してくれる。

VB-Fig3世界最大のクラウドファンディングのプラットフォーム、米キックスターターは2009年に設立されて以来、大きく成長している。14年には2万2252件のプロジェクトが成功し、合計で5.29億ドル(約620億円)の資金を集めた。世界中から330万人の支援者が資金を提供した。

資金調達をしたいプロジェクト投稿者が製品の説明、プロジェクトの内容・スケジュール、事前予約の金額、調達目標金額などを詳細に説明する仕組みだ。プラットフォーム側は、これを審査の上でネットに公開する。支援者(Backer)は気に入ったプロジェクトに資金を提供する。

期間内に目標金額に到達すれば、プロジェクト成立となり、その時点で初めて資金移動が起きる。目標金額に達しなければ、プロジェクトは不成立となり、資金提供は行われない。キックスターターの場合は、調達資金の5%をプラットフォーム側の手数料として取っている。最近では、日本でも様々なクラウドファンディングが登場して、スタートアップを支えている。

クラウドファンディングは製品の市場性をはかる1つのバロメーターでもある。製品化した場合の販売数を予測できるし、支援者の意見も参考になる。メディアに露出して宣伝する目的もある。

ヘッドマウントディスプレーの「Oculus Rift」はキックスターターで12年9月に240万ドルを集め、その後、アプリ開発キットもリリースし、14年3月にフェイスブックが20億ドルで買収すると発表。わずか1年半の出来事である。

日本からも革新的な製品を一気に世界にデビューさせて、大成功を狙うことも夢ではない。

  • 技術VB創造のヒント(4)ロボ事業化、まず目的限定

1年少し前に米グーグルがロボットベンチャー8社を買収して大きな話題になり、世界中でロボットの研究開発が加速している。今年初めに経済産業省が発表した「ロボット新戦略」は2020年に国内のロボット市場の規模を現在の約4倍の2兆4000億円にすることを目指すとしている。

VB-Fig4日本は産業用ロボット分野では世界をリードしており、今後はサービスロボット分野を中心にして広範囲にロボットを活用することが期待されている。

ロボットを事業化する一番のポイントは、うまく目的を限定する課題設定にある。例えば、配管の老朽化や破損を検知するとか、荷物を種類によって所定の場所に移すとか、生産ラインの一部の工程を人間に替わってこなすといった目的がはっきりすれば、おのずと必要な技術的課題も明確になり、解決できる。ロボット導入のコストと、それによる効果(コスト削減や売り上げアップ)が予測できれば、市場性も見通しがつきやすい。

一方、汎用的なロボットをプラットフォームとして、いろいろなアプリケーションソフトをそろえようというアプローチは簡単ではない。目的によって、最適なロボットのハードも様々だ。ある限定したシーンや応用の範囲内ではあっても、いかに柔軟で、型通りではないシステムを構築できるかが使い勝手のポイントになる。

人間ができない作業をロボットに任せるニーズもある。災害現場では遠隔操作でロボットに作業させるという形態でも十分役に立つ。現場での実用化を期待したい。

ロボット開発の一つの究極のゴールは何でもこなせる汎用的な人間型ロボットであろう。これには柔軟で強靱(きょうじん)な運動能力というハード面の進化と人工知能のソフト面の進化が必要だ。さらにロボットを活用する社会全体の設計も必要になる。少子高齢化が進む日本で高付加価値を生むには、ロボットの活用は欠かせない。

  • 技術VB創造のヒント(5)宇宙事業、チャレンジ可能に

宇宙事業と言えば、これまでは宇宙航空研究開発機構(JAXA)が行っている国家プロジェクトというイメージが強かったが、いよいよベンチャー企業がチャレンジできる領域になってきた。今年初めに政府が発表した「宇宙基本計画」も宇宙の活用を強調した中身になっている。

VB-Fig5すでに気象衛星「ひまわり」や衛星放送、全地球測位システム(GPS)などを我々は日々の生活で利用している。今後、急速に広がる応用としては、小型人工衛星による地球観測と「衛星インターネット」になるだろう。さらに宇宙旅行や火星への移住、月での資源探索、宇宙ゴミ収集など宇宙ビジネスのテーマには事欠かない。

小型人工衛星による地球観測は安全保障や警備、資源・エネルギー、農業などの分野への応用を始め、様々なビジネスに活用できる。例えば、農作物の収穫時期やライバル店舗の駐車場の空き具合、石油の備蓄量といったビジネスに役立つ分析が可能だ。数メートルの地上分解能の人工衛星画像を格安で手軽に利用できれば、各分野の専門知識と組み合わせて、新たなベンチャービジネスが多数生まれるに違いない。

もう1つのホットな領域は小型人工衛星を使ったインターネット。米グーグルと米スペースXが手を組んで実現するという話もある。インターネット・オブ・シングス(IoT)が急速に広がる中、今後、ネットは人口カバー率ではなく、地球カバー率が課題になる。小型衛星を多数打ち上げ地球の隅々までカバーしようというわけだ。

小型人工衛星を打ち上げ費用込みで1機数億円という費用で実現できるなら、企業が自ら専用の衛星を持ってビジネスに役立てようという話も現実的になってくる。目的に応じて衛星に搭載するカメラやセンサーを選択し、ある程度のデータ処理も衛星上で行えばよい。ソフトをアップロードすることも可能だ。データセンターを宇宙に置く時代になるかもしれない。文字通りクラウド(雲)の先の世界だ。

  • 技術VB創造のヒント(6)ゲノムの応用は無限大

ヒトゲノム(全遺伝情報)が初めて解読されたのは2003年で、ほんの10年ほど前のことである。それ以降、ゲノム配列を解析する次世代シークエンサーが開発され、解析技術も格段に進歩している。がんなどの病気とゲノムの関係や遺伝的リスクなど様々なことが分かってきている。

VB-Fig6ゲノムの構造(ATGCの4種類の塩基の配列)はあらゆる生命で共通の構造で、微生物から植物、動物、ヒトまですべて同じだ。ゲノム解析がさらに高速に低コストで実現できるようになれば、ゲノム科学の知見は今後、多方面で応用できる。

ゲノムの研究は何と言っても、まずは人間自体の理解、病気の原因の究明、治療の開発だ。がんや認知症など重要な病気の対策が期待されている。ゲノム解析によって個人の体質に合った治療(個別化医療、テーラーメード医療)も実現しつつある。新しい医療や診断システム、ゲノムによる創薬、情報サービスなど新規ビジネスの種は至るところにありそうだ。

農業の分野でも、いろいろな応用が考えられる。土壌をゲノム解析することにより、土壌に含まれる微生物や菌を分析し、農作物の病気のリスクが診断できる。最近、頻繁に問題になる品種や産地の偽装の対策として、DNA鑑定が使える。ゲノム解析を応用して、効率よく品種改良を加速することもできる。「おいしさ」の秘密を探ることもできるかもしれない。農業や酪農は熟練者の経験やノウハウが重要だが、ゲノムの知見により共通知識化して再利用することができる。

さらにゲノム解析のコストが下がれば、ペットの病気やアレルギーなどの診断にも応用できるし、地域の植物や土壌の時間的変化を観察すれば、環境変化も把握できる。ゲノムデータとは、生命誕生以来40億年生き残ってきた学習結果のようなものだ。それをひもとくことによって、まだまだ新たな発見があるに違いない。

  • 技術VB創造のヒント(7)農業、ドローンや衛星 活用余地

環太平洋経済連携協定(TPP)の重要テーマでもある農業。農協改革や規制緩和の動きもあり、今後、農業を取り巻く環境は激変する。最新技術を活用して、生産性を向上させ、魅力的な新商品(食品)を開発すれば、農業の競争力を強化できる余地は大いにある。

VB-Fig7生産プロセスの中で、できるだけ自動化を進める。すでに収穫作業など作業の機械化は進んでいるが、これをさらにロボット化して、人間の手間をできるだけ減らすとともに、大規模化する。農業は天候に大きく左右されるため、肥料の散布時期や収穫時期などのタイミングを合わせ、できるだけロスを少なくすることも重要だ。

また、害虫や土壌病害などを事前に検知して被害を未然に防ぎたい。これには、農地、農作物の状態を観測・監視して分析することが必要になる。外からの観測には、小型人工衛星やドローンが使える。定期的に画像を撮影して、変化を分析する。まさに画像のビッグデータ解析技術がキーになる。内からの観測として、土壌の水分量や化学分析は有効だ。さらに土壌のゲノム解析で、病害をもたらす微生物の検出も可能だ。こうした最新技術の導入コストが急速に下がりつつあり、これらのデータの分析ソフトウエアやシステム化がキーになる。

次に、魅力的な商品の開発だ。工業製品と同じで、人々の嗜好は大量生産品よりも、付加価値の高い多様な商品、その商品の持つストーリーに興味がある。農産物の難しさは、新たな品種の開発に時間とコストがかかることだ。品種改良するにしても、交配は年に通常1回しかできないので、トライ・アンド・エラーのサイクルが長くなる。これを短縮するのが、ゲノム科学だ。ゲノム解析することで、あらかじめ予測を立てて育種することができる。植物工場のようなシステム化された環境で行えば、データ分析もやりやすい。

日本食の人気がさらに世界に浸透し、健康、品質が重視されていけば、日本の農業にも大きなチャンスがある。

  • 技術VB創造のヒント(8)人工知能、あらゆる製品で活用

人工知能が今後、急速に進化し、2045年には人間の知能を超えて爆発的な自己進化を始める「シンギュラリティー(特異点)」も予測されている。人間の脳の神経回路を参考にした機械学習の方式、ディープ・ラーニング(深層学習)も注目されている。

VB-Fig8今後は、あらゆる製品やサービスは、学習や予測なくしては成り立たない。機器の制御やユーザーとの接点で知能のレベルが問われてくる。製品やサービスは、機能競争、価格競争、デザイン競争となるが、最後は背後にある人工知能競争になるに違いない。

現在、すでに画像認識や音声認識などの分野で深層学習が威力を発揮している。画像認識は、製造現場やロボットの制御などで利用されている。また車の自動運転では、カメラ画像に加えて様々なセンサーからのデータを学習させる。顔認識や顧客の行動分析などマーケティングへの導入も加速しそうだ。医療分野でも、大量のコンピューター断層撮影装置(CT)などの画像に機械学習を応用して、診断支援に使える。音声認識もユーザーインターフェースやオペレーターの業務への活用が進みそうだ。

膨大なビッグデータを人工知能に学習させて、人間の業務を支援するシステムは今後、一般的になるだろう。関連するデータや文脈に応じた検索などリアルタイムに支援してくれることで、より良い判断ができ、見落としが減り、業務効率が向上する。

特徴やルールを自ら抽出して、認識や判定、予測をするという従来は人間が行っていた知的作業が切り出されて、汎用的なエンジンとして利用できる時代になるわけだ。この人工知能エンジンのプラットフォーム競争はすでに始まっている。

人工知能の利用面では、何を入力とするか、何を出力とするかの設計が必要だ。つまり、導き出したい結果のストーリー、戦略といったことが重要になる。これは当面人間にしかできない高度な仕事だ。

  • 技術VB創造のヒント(9)人の能力拡張、思考分野でも

テクノロジーで人間の能力を拡張・増幅させようという分野をヒューマンオーギュメンテーションなどと呼び、実用化が期待されている。今後、ベンチャーが多く出てきそうな領域だ。

VB-Fig91つはフィジカルな能力の拡張。腕や足腰に動力付きの補助機器を装着して、運動能力を補強する。障害者向けの医療機器から、高齢者向けの補助機器、一般の人が重い荷物を扱う作業を支援するためのツールなど幅広い応用がある。メカ的な工夫だけでなく、センサーデータを分析して、動作のモニターやガイドをしたり、疲労度を検出したりすることも可能だろう。

もう1つは思考能力の拡張。メガネ型デバイスやヘッドマウントディスプレー(HMD)を使って、現実の映像に何らかの有用な情報を重ね合わせて表示する拡張現実(AR)技術はかなり進化している。両手がふさがるような業務や接客、バーチャル体験などで活用されている。さらに、コンタクトレンズや、人間に電気刺激を与えるといった、デジタル空間・ネットワークをより直接的に人間につなげる方向へと最先端の研究は進んでいる。

人間とのインターフェースの究極のかたちは、考えたことがそのまま伝わる、すなわち脳の指令が直接モノや人間に伝わることだ。脳波を検出することにより、ある程度は意図や意思を分析できるようになってきた。2016年にスイスで開催が予定されている人間拡張の競技会サイバスロンにも、ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)のジャンルが含まれている。今後の進展が楽しみだ。

ベンチャービジネスとしては、人間のどの機能に着目するか、その機能の増幅でどんなニーズと結びつくか、さらにネットとつながることで、どんな付加価値を提供できるか、といったことがポイントになる。

  • 技術VB創造のヒント(10)エネ変革、新規参入の好機

世界は温暖化ガスを排出しないクリーンな新エネルギー、再生可能エネルギーのブレイクスルーを期待している。太陽光や風力など様々な発電技術の開発が加速している。原子力や火力に代わるこうした新エネルギーの課題は、安定した電力供給が難しい点だ。一方、家庭の電力需要も季節や時間帯、天候によって変動する。この需要と供給両側の変動をマッチングするのは至難の業だ。電力供給の本質的な課題である。

各家庭で電力使用の最大値を管理するデマンドコントロールによって、電力需要を管理するシステム化も進みつつあるが、電力を効率良く蓄電できれば、この問題は一気に解決する。中央コントロールから、電力の地産地消、電力は自分で作る、といった分散化の方向にシフトできる。蓄電池の開発は、未来社会に向けて極めて重要な技術テーマと言って良いであろう。

蓄エネルギーの課題には、大容量化と低コスト化、省スペースなどがあり、様々な技術開発が進んでいる。大量生産で低コストのリチウムイオン電池を使う、蓄電のクラウドのような発想もあるかもしれない。水素や熱のかたちでエネルギーを蓄積する方法も有望そうだ。特に、太陽光や風力のエネルギーを効率良く水素に変換して貯蔵するシステムが期待される。

VB-Fig10日本政府も力を入れる水素エネルギーの利用。燃料電池車の実用化、普及が期待されている。2050年には世界の水素インフラの市場規模は約160兆円になる。同時に、カーシェアや自動運転などの車産業の変革、ビジネスモデルの転換も起こりつつある。水素ステーションのインフラ整備は、こうした新しいモデルと相性が良い。車のステーションが、まさに燃料・情報供給の拠点となる。そう考えると配車サービスベンチャーのUberなどは、いわば運転手付きの高級カーシェアで、未来へのステップとも言える。

さらに、来年春には、電力の小売り全面自由化もスタートし、付加価値サービスの競争になる。新規参入が可能な変革時期にはベンチャーに大いにチャンスがある。

  • 技術VB創造のヒント(11)本気度・経営力、成否のカギ

最近、大学の研究成果や人材を活用した技術ベンチャー(VB)の創出が注目されている。大学発ベンチャーが成功するためには、大きく2つの課題がある。1つは、すぐれた研究成果や先進的な技術の素材から、産業界や市場が望むいわば「おいしい料理をつくる」こと。そして、もう1つは、そのおいしい料理を看板メニューに「繁盛するレストランをつくる」ことだ。ここまで進んで、やっと事業化といえる。

VB-Fig11研究のシーズ(種)を社会のニーズ(要求)にマッチする製品やサービス、すなわち「おいしい料理」にするには、研究者や技術者は広い視野をもつことが重要だ。デザインや使い勝手など、ユーザー視点は欠かせない。実際に一般ユーザーや潜在顧客に使ってもらって改良を重ねるなど、机上の研究だけでなく、多くの人たちを巻き込んで現場で走り回る推進力が必要になる。産学連携で事業化を目指すプロジェクトも多いが、その本気度が問われる。成果報告が目的ではなく、事業化がゴールだ。

次に、売れそうな製品やサービスをいかに市場に出すか。料理の例で言えば、どこに店を出して、値段をいくらにして、どう宣伝して、いかにリピーターを増やすかなど、「繁盛するレストラン」にするために経営戦略が必要だ。研究者や技術者が自ら経営マインドを持って、技術だけではなく、事業全体を考えることが重要だ。いくら料理がおいしくても店は簡単につぶれる。

日本の中長期的な産業競争力強化には、イノベーションを引き起こし、グローバルに成功する技術ベンチャーの創出がキーになる。そのためには、研究者・技術者でかつアントレプレナーとなるイノベーション人材を育成することが重要だ。ただ資金を増やしても、上記の2つの課題は解決しない。大学発ベンチャーを継続的に増やすには、経営者育成、起業支援の知見やノウハウもモデル化し、改善していくことが必要だ。

  • 技術VB創造のヒント(12)目標高く 自らを鍛える

本連載の最終回は、技術ベンチャー(VB)のリーダーについて考える。革新技術をベースに起業し、新しい市場を開拓、一大産業を作り上げる。パソコン創成期のマイクロソフト、インターネット検索のグーグル、交流サイト(SNS)のフェイスブックなど、学生エンジニアが経営者にもなって会社を大きく成長させた。

一流の研究者や技術者が経営能力も身につければ最強の「テック経営者」となる。経営は、常にビジネスリスクと技術リスクのバランスだからだ。両方わかれば、すばやく良い判断ができる。そうしたテック経営者になるには、どんな資質が望まれるのか。意識すべきポイントが3つある。

テック経営者1つ目は、高い目標設定。世界を目指すのか、ローカルな成功で満足するのか、何を実現したいのかがまず大事だ。これが人々ひきつける会社のビジョンやミッションになる。世界で成功することが目標であれば、そのために準備すべきことや物事の優先順位も当然違ってくる。

2つ目は、情熱と忍耐。スタートアップは皆、考えられないほどハードワークだ。24時間技術や事業のことを考えている。世界には、優秀な競争相手が大勢いるので、普通に頑張る程度で大成功できるはずがない。プロスポーツと同じで、運良く勝てるとしても僅差でしかない。その差は、情熱やこだわりの強さからしか生まれない。

3つ目は、謙虚さと正直さ。若手アントレプレナーにどうしても足りないのは経験だ。失敗しながら学習していくしかない。実は、この学習速度が人によって大きく異なる。どんな話や経験からも学べることはある。要は、本人の考え方次第だ。しかし、プライドや失敗を認めたくない気持ちが邪魔をする。特に、社長というポジションには上司がいないので、自らを鍛えることを相当意識しないと成長できない。

こうしたリーダーシップ・人間力の育成には、大変なプロジェクトを実際に経験することがてっとり早い。変化の激しい時代、チャンスはどこにでもある。ベンチャーに挑戦する若者が増えることを期待したい。=おわり

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